2010年10月7日木曜日

希望の光…4

その瞬間から、レイと名付けた子馬と瀕死の母馬ピンキーとneotearとの壮絶な時間(とき)が動き始めていた。

ピンキーに出来る限りのことを試みながら、自力で立つことの出来ないレイを励まし支えミルクを与える、そんな片時も気を抜けない状態が丸1日続いた後で…ピンキーはレイのそばで、静かに息を引き取ったのだった。

元気な母子を想像していたtearとneoには、その状況が理解できるはずもなかった。

緊張と脱力と虚無…まだあたたかいピンキーに触れながら、頭の中を機械的に整理しようとする自分がそこにいる。

動かなくなったピンキーのそばで、レイが「ブブブ…」と唇を振るわすように母馬を呼んでいる。
その声にハッと現実に引き戻され、途端、溢れ出る感情を抑えきれなくなっていた。

悲しさなのか悔しさなのか、やるせなさなのか憤りなのか…

理由のない涙が溢れ、言葉にならない言葉が溢れ、なりふり構わず泣き叫んでいた。

あの時…何を叫んでいたのか、何に向かって叫んでいたのか…今もわからないでいる。

どのくらい泣いただろう…ひとしきり感情にまかせたおかげで、涙が止まった時には、いつもの自分がいた。

「レイ」
呼びながら抱きしめたレイは、あまりにあどけなくて温かで…。

「絶対にこの子は生かそうね…」祈りのような誓いが唇からこぼれていた。

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