ピンキーに出来る限りのことを試みながら、自力で立つことの出来ないレイを励まし支えミルクを与える、そんな片時も気を抜けない状態が丸1日続いた後で…ピンキーはレイのそばで、静かに息を引き取ったのだった。
元気な母子を想像していたtearとneoには、その状況が理解できるはずもなかった。
緊張と脱力と虚無…まだあたたかいピンキーに触れながら、頭の中を機械的に整理しようとする自分がそこにいる。
動かなくなったピンキーのそばで、レイが「ブブブ…」と唇を振るわすように母馬を呼んでいる。
その声にハッと現実に引き戻され、途端、溢れ出る感情を抑えきれなくなっていた。
悲しさなのか悔しさなのか、やるせなさなのか憤りなのか…
理由のない涙が溢れ、言葉にならない言葉が溢れ、なりふり構わず泣き叫んでいた。
あの時…何を叫んでいたのか、何に向かって叫んでいたのか…今もわからないでいる。
どのくらい泣いただろう…ひとしきり感情にまかせたおかげで、涙が止まった時には、いつもの自分がいた。
「レイ」
呼びながら抱きしめたレイは、あまりにあどけなくて温かで…。
「絶対にこの子は生かそうね…」祈りのような誓いが唇からこぼれていた。
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